基礎ボイトレ -歌唱テクニック:抑揚(こぶし、ひっかけ、フォールなど)-

ボイトレ練習
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プロの歌手やカラオケが上手い人は音程や声がきれいに響いているだけでなく、歌い方も独特で感情表現が豊かです。

単に声が響いているだけだと単調で味気がなく、聞いていても飽きてしまいます。声楽家がカラオケを歌ってもイマイチな感じがします。

感情表現を豊かに歌うためには歌の抑揚が欠かせません。

以前、曲全体で抑揚をつける方法を紹介しました。以下の記事です。

→ 基礎ボイトレ -歌唱テクニック:抑揚(曲全体で声量と声質を変化)-

今回はフレーズの中でつける細かい抑揚について紹介します。

カラオケの採点機能で「こぶし」や「しゃくり」など、皆さんも見たことがあるかもしれません。プロ歌手はこれらの細かい抑揚を使いまくって歌っています。

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抑揚とは

抑揚とは「メロディーや歌詞に合わせて、声量や声質を変化させて歌う」ことです。

一般的に「抑揚をつけて歌う」ことは認識されていると思います。

抑揚の中には、フレーズの先頭や最後、音の変わり目などで細かく音程を変化させるものもあります。

細かい抑揚の要素

フレーズの先頭や最後、音の変わり目などでつける細かい抑揚には以下のものがあります。

  • ずり上げ、しゃくり、ひっかけ
  • ずり下げ、フォール
  • ひっくり返り
  • こぶし
  • エッジボイス(抑揚とは少し違うかもしれませんが、似たもの)

「こぶし」が演歌などで最も有名ですが、こぶしは他の細かい抑揚の複合的なものなので、最後のほうに説明します。

ずり上げ(しゃくり、ひっかけ)

ずり上げ」は低い音程から始めて音程を徐々に上げていく歌い方です。

以下のように歌います。

  1. 本来の音程よりも低い音程で歌い始める
  2. 音程を徐々に上げていく
  3. 最終的に本来の音程で伸ばす

ずり上げは歌詞の中の一文字(一つの音程)の中で行います。

カラオケの採点機能では「しゃくり」と呼んでいることもあります。また「ひっかけ」と呼ばれることもあります。

フレーズや歌詞・単語の先頭でずり上げることが多いです。ずり上げることでアクセントになり歌詞が伝わりやすくなります。

プロ歌手は皆さん使っています。音程を上げるときの速度が変わると、聞いたときの感じ方が変わるので、個性が出やすい歌い方です。

ずり下げ(フォール)

ずり下げ」は本来の音程から徐々に音程を下げていく歌い方です。ずり上げの真逆ですね。カラオケの採点機能では「フォール」と呼ばれています。

以下のように歌います。

  1. 本来の音程で歌い始める
  2. 音程を徐々に下げていく

ずり下げはフレーズの最後のロングトーンで使われることが多いです。

ずり上げは練習しないと難しいのですが、ずり下げは最後のロングトーンで音程を下げるだけなので、誰でも簡単にできます。

例えば高音のサビの最後にずり下げることで、サビの緊張感から脱力感に変えることができます。緊張感だけだと聞いているほうが疲れますからね。

ひっくり返り

高音のサビを歌っているときに声が裏声にひっくり返ることがありますよね。

ひっくり返り」はワザとひっくり返して歌うことです。

文章で歌い方を説明するのが難しいです。高音でひっくり返ったことがある人は、普通に歌える音程でワザと同じ状態にするだけです。

ひっくり返ったことがない人は、以下のことを試してください。

  1. 普通に歌っている状態
  2. 音の最後で喉の力を一気に抜く→ひっくり返る
  3. 次の音で、また普通に歌う

ひっくり返りは、プロ歌手は結構使っています。

高音部分で使うとアクセントになります。歌詞の先頭や最後とかではなく、メロディーのアクセントとして使うことが多いと思います。

歌詞の「っ」(小さな「つ」)の部分で使うこともあります。日本語は特殊でメロディーで「っ」を表すことができないので、ひっくり返したり、メロディーとして音程を上げて「っ」を表すことが多いです。

また、女性アイドルが可愛らしく歌うときにロングトーンの最後で軽くひっくり返したりします。典型的なのは松田聖子さんですね。

ひっくり返りは難易度が高いです。安定して同じ声質にするには、何度も繰り返し練習するしかありません。

ミックスボイスで重要かも

ひっくり返りは半分ミックスボイスが入っているので、ミックスボイスを習得しようとする人はひっくり返りができたほうが習得しやすいです。ミックスボイスがなかなか習得できない人はひっくり返りの練習をしてみてください。

ちなみにミックスボイスからでもひっくり返すことはできます。ミックスボイスは地声の一種で裏声とは違うので、ひっくり返ります。

ひっくり返りの途中で止めた状態がミックスボイスとも言えます。途中で止めているだけなので、そこから進めるとひっくり返ります。

カラオケの採点機能にない

ひっくり返りはカラオケの採点機能にはない要素だと思います。こぶしと認識されるかもしれません。

なぜ要素にないかを考えたんですが、必ずしも「音程が変化しない」からかも。地声から裏声の変化は機械では認識できないからだと思います。

機械は音程の変化は簡単に検出しますが、音色の変化を検出するのが難しいんだと思います。変化の検出はできても地声なのか裏声なのかは判断できないんじゃないでしょうか。なので、ひっくり返ったのか、単に声色を変えたのかが検出できないんだと思います。

こぶし

こぶし」はとても有名ですね。演歌や民謡のイメージですが、R&Bなどのソウルフルな歌でも使われます。

こぶしは、先ほどまで紹介した要素を全て含んでいます。基本形は以下のような歌い方です。

  1. ずり上げる
  2. ひっくり返る
  3. ずり下げる

これらのことを一つの音程で行います。難易度が超高いです。激ムズです。

まあ、普通の人は演歌歌手の歌い方はできませんからね。

基本形の歌い方以外にも組み合わせ自由でが、「ひっくり返る」は外せません。ひっくり返るは重要な要素です。

ずり上げ、ずり下げだけだと単なる音程の変化なので、こぶしの独特な雰囲気を出すことができません。

地声でこぶしをかけることはできますが、裏声ではできません。裏声からさらにひっくり返ることができないためです。

エッジボイス

エッジボイスは発声手法に分類されると思いますが、上記の抑揚の要素と同じ効果があります。

エッジボイスは欧米ではボーカルフライと呼ばれ、プツプツ途切れた声です。詳細は以下のページを参照してください。

→ お一人様ボイトレ 練習編(ヘッドボイスの出し方)のエッジボイス

こぶしと同様にソウルフルな歌で使われます。

フレーズの先頭でエッジボイスを加えると力強さを表現できます。エッジボイスの出し方は先ほどのページで確認してください。

まとめ

以上、歌の表現力を上げるための細かい抑揚について紹介しました。

ずり上げ、ずり下げ、ひっくり返り、こぶしなどで、より感情を豊かに表現することができます。

ひっくり返りは難易度が高いのですが、こぶしを使いこなすには重要な要素です。高音発声するためのミックスボイスにも有効なので、ひっくり返りをマスターすることを目標にするのがいいのではないでしょうか。

高音に関するボイトレは以下のページで紹介しています。

→ お一人様ボイトレ 目次 ミックスボイスで高音を目指せ!-出し方と練習ー

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