基礎ボイトレ -発声練習:腹式呼吸-

ボイトレ練習
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発声に関する基礎知識を習得できたと思うので、いよいよ発声練習に入っていきます。

まずは腹式呼吸からです。

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腹式呼吸とは

息を吐いて声帯を震わせることで声になりますが、息を吐くためには息を吸う必要があります。当然ですね(笑)。

呼吸には二種類の方式があります。

胸式呼吸

呼吸は肺に外気を取り込み酸素を吸収して体内から二酸化炭素を排出し肺の外へ送り出します。排出する息を利用して声を出します。

胸式呼吸とは肺のある胸を使って呼吸をすることです。

全力疾走したあと、ゼェゼェと息を切らしますよね。このとき胸が大きく拡がったり萎まったりして呼吸をしています。この状態が胸式呼吸です。

胸式呼吸は先ほどの全力疾走のように激しく短い時間で呼吸をするため、ロングトーンが必要な歌には適していません。歌には腹式呼吸が適しています。

腹式呼吸

腹式呼吸はお腹の下のほうにある横隔膜を使って肺を拡げたり萎めたりする呼吸方法です。

横隔膜は焼肉のハラミのことです(笑)。腹筋とは全く別のものです。主に筋肉でできていますが内臓に分類されています。

胸式呼吸では激しく息を切らしながら呼吸しますが、腹式呼吸はゆったりと呼吸できるので、ロングトーンを使用する歌に適しています。歌だけではなく芝居などの発声にも適していると言われています。

どちらの呼吸かを確認

一般的に男性は普段から胸式呼吸の人が多いと言われています。また鼻ではなく口で息をしている人にも胸式呼吸が多いです。女性は腹式呼吸が多いと言われています。

歌には腹式呼吸が適していますが、普段は意識せずに呼吸をしているので自分の呼吸が胸式呼吸なのか腹式呼吸なのかが分からない人もいると思います。

仰向けに寝転んで呼吸をしたときにお腹が上下(前後)に動く人は腹式呼吸です。お腹があまり動かずに肺だけが拡がったり萎んだりする人は胸式呼吸です。

腹式呼吸のやり方

体勢は座っていても立っていてもどちらでも構いません。

  1. 息が完全になくなるまで息を吐き続けます。
  2. このときお腹に力を入れながらお腹を上方向に引っ込める感じで息を絞り出します。
  3. 息を最後まで絞り出したら、息を止めます。お腹には力が入ったままです。
  4. お腹に入れていた力を一気に抜くのと同時に鼻から息を吸います。このとき息を吸うというよりも息を止めることをやめます。息を止めずにお腹を緩めると勝手に息が肺に入ってきます。

以上が腹式呼吸のやり方です。何度か繰り返し、徐々に腹式呼吸で普通に呼吸できるようにしていきます。口で呼吸をすると胸式呼吸になりやすいので、息を吸うときは鼻から吸ってください。

腹式呼吸の強化練習

腹式呼吸は歌にとって重要です。腹式呼吸だけで声色が良くなったり、高音が出るようになる訳ではありませんが、安定した歌唱に必要です。

腹式呼吸の強化練習をいくつか紹介します。

スタッカート

スタッカートとは音楽用語で弾むように歌ったり楽器を弾いたりすることです。音符の上に小さい点を書いて表記しているので、今までに見たことがあると思います(小学校の音楽の授業で習っています)。

手拍子の間隔で「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と細かく弾んで声を出します。特に音程は要りません。

このとき、腹式呼吸で「ハッ」と声を出すことが重要です。お腹に力を入れて「ハッ」と声を出し、声を出していないときに胸を膨らませずにお腹だけで息を引き込みます。息を引き込むとき、お腹の力を緩めるだけで勝手に息が入るようにします。

これが上手くできるようになったら、いろいろな音程でスタッカートを練習します。

スタッカートが上手くできると実際の歌でも迫力のある歌い方ができます。

ロングトーン

常に腹式呼吸ができるようにロングトーンで発声して練習します。

  1. 適当な音程で「アー」とロングトーンで発声します。お腹に力を入れながら息がなくなるまで発声したままにします。
  2. 息が続くなくなると息を吸いますが、このとき必ず腹式呼吸で息を入れます。わざと吸うのではなく勝手に息が入るようにします。
  3. 息が入ったらすぐにロングトーンで発声します。

ロングトーンの最中(息を吐く)とロングトーンとロングトーンの間(息を吸う)が常に腹式呼吸となるように繰り返し練習します。

常に腹式呼吸で歌えると素早くブレスをすることができるので、メロディーが途中で途切れたりすることを防いでくれます。歌うと息切れしやすかったり苦しくなってしまう人も腹式呼吸だけで歌うと楽に歌うことができます

呼吸の注意点

いろいろなWEBサイトの情報の中に「腹式呼吸に歌は関係ない」と言っているものもあります。これは、腹式呼吸が必要ないという意味ではなく「腹式呼吸だけ頑張っても声が良くなったり音域が広がったりはしない」という意味だと思います。腹式呼吸だけで何でも解決させようとするなの意味です。

腹式呼吸のメリットは呼吸が安定することだけです。響きや音域には全く関係ありませんが、安定しない呼吸ではまともに歌えないので腹式呼吸は重要です。

 

以上、腹式呼吸の説明と練習方法を紹介しました。

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