高音ボイトレ 理論編(ミックスボイスとは)

ボイトレ理論
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前回の「高音ボイトレ 理論編(発声メカニズム)」では、声帯の動きや地声と裏声の発声メカニズムと音質について書きました。

今回は、地声の高音を伸ばしていくために必要な「ミックスボイス」とは何なのかについて書きたいと思います。

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発声メカニズムのおさらい

地声と裏声は以下の違いがあります。

  • 内側甲状披裂筋が十分に働いているときが地声で、働いていないときが裏声
  • 地声は声帯全体が振動するので豊かな声質だが、裏声は単純な声質
  • 喚声点より低ければ地声で歌うことができるが、喚声点より高いと裏声で歌うことになる

前回は、以下で締めくくりました。

  • 裏声の発声の仕方で地声に近い状態にしてやれば地声に聞こえる
  • つまり、裏声のときに声帯を閉じればいい

この状態のことを世間では「ミックスボイス」と呼んでいます。

ミックスボイスとは

「この状態のことを世間ではミックスボイスと呼んでいます」と書きましたが、実はこの定義は曖昧なんです。どこか権威のある機関が「この範囲がミックスボイス」とお墨付きを与えている訳ではなく、なんとなくこれがミックスボイスかな?って広まりました。

「高音ボイトレ」の記事の中では、ミックスボイスを以下のように定義したいと思います。

  • 定義1:披裂筋類と輪状甲状筋を自由にコントロールして発声している
  • 定義2:声帯全体が振動している
  • 定義3:地声のように豊かな音質である

この定義だけ見ると地声との違いが良く分かりませんね。

地声は披裂筋類をフル稼働させており、喚声点に達すると輪状甲状筋の伸展に耐え切れなくなって、披裂筋類の働きを維持することができなくなります

披裂筋類をフル稼働させないことで(例えば50%の力)、喚声点を越えても披裂筋類の働きを維持させるのがミックスボイスです。

喚声点より低ければ100%(地声そのもの)、喚声点付近では90%、それより高音になると70%、50%のように披裂筋類の働きを細かく制御することが必要です。これが定義1に該当します。

定義1を実現することで、定義2と定義3も同時に達成することになります。

ミックスボイス習得時の注意点

「ミックスボイスは地声と裏声を混ぜる」と表現する人もいます。間違いではないと思うんですが、それだと地声でも裏声でもない新しい声のように解釈してしまいます。

また「ミックスボイスは裏声を加工したもの」と表現する人もいます。これも間違いではないんですが、「裏声ベースなら、裏声と同様に楽な歌い方でいい。楽に出るはず。」と思ってしまい、披裂筋類のコントロールがおろそかになりやすいと思います。

披裂筋類を働かせるので、裏声のように楽チンな状態ではなく、地声と同様に疲れます。適切な力しか入れないので、地声で無理矢理張り上げて喉を壊すようなことがないだけです。

ですので、「ミックスボイスはあくまでも地声の一種であり、声帯の筋肉を地声より細かくコントロールして実現させる」と解釈したほうが習得しやすいのではないかと思います。

巷では動画サイトでミックスボイスを披露していたりしますが、その中で「こんな声では歌いたくない」と思ってしまうものもあります。ただキンキンしている声であったり、ガラガラ声が混ざって決して豊かな声とは言えなかったり。

そんな声を目指しても意味はないので、上記の定義に全て当てはまるミックスボイスを目指して行きたいと思います。

ヘッドボイスとは

通常の息漏れのある裏声を「ファルセット」と呼びますが、裏声には「ヘッドボイス」と呼ばれるものもあります。

「ミックスボイス習得時の注意点」の文章の中で、「ただキンキンしている声」と表現した箇所がありますが、この声がヘッドボイスです。

先ほどのミックスボイスの定義との違いは、定義2のみ実現した声です。ヘッドボイスは、ファルセットの状態からとりあえず声帯を閉めただけの声なので、定義1は十分に実現できていません。

声帯が閉まっているので声帯の筋肉が振動し、息漏れのないはっきりとした声になります。ただし、とりあえず声帯を閉めただけなのでファルセットの音色のまま大音量になるだけで、地声には聞こえません。ソプラノ歌手のような音色になります。(もののけ姫を歌うことはできますね)

そのまま歌に使うことは難しいのですが、ミックスボイスを習得するためには、まずこのヘッドボイスができないと話になりません。

その後に定義1の通り筋肉を自由にコントロールできるようにして、最終的に定義3を達成します。なのでヘッドボイス自体は重要です。

また、先ほどの「ガラガラ声が混ざって決して豊かな声とは言えない」声ですが、ヘッドボイスにノイズを加えることで無理やり地声感を出そうとしているアプローチだと思います。このアプローチだと変な声からは抜けられないと思います。定義1を目指すべきだと思います。

定義1に加えて(ミックスボイスが完成した後に)、さらに特徴のある声を出すためにわざとノイズを入れるのであれば問題ないと思いますが、変な声に聞こえている時点で定義1ができていないと思います。

エッジボイスとは

エッジボイスというものがありますが、これは歌唱技法に分類されるものです(こぶしとかビブラートなどのように)。プツプツ細かく途切れた声で、例えるなら映画の呪怨で有名なあの声「あ゛あ゛あ゛あ゛~」ですかね。

裏声にエッジボイスを加えればミックスボイスって説明している人もいますが、この発声がガラガラ声で出している人の発声方法だと思います。

エッジボイス自体は使い方を間違えなければ有効な歌唱技法です。

また、ヘッドボイスを習得するときにエッジボイスを使うと習得しやすいので、エッジボイスというものがあることを覚えておいてください。

ヘッドボイスからミックスボイスへ

先ほどの「ヘッドボイスとは」で、ヘッドボイスは、ファルセットの状態からとりあえず声帯を閉めただけの声であり、定義1は十分に実現できていないと説明しました。

また、「ミックスボイスとは」で、披裂筋類をフル稼働させないことで(例えば50%の力)、喚声点を越えても披裂筋類の働きを維持させるのがミックスボイスとも説明しました。

これらのことから、ヘッドボイスは披裂筋類の働きがほぼ0%のミックスボイスと言えます。(声帯を閉めているので0%ではなく、ほぼ0%と表現しています)

つまり、ヘッドボイスの状態から披裂筋類の働きを強めることでミックスボイスになります。

披裂筋類の中でも声帯内部にある内側甲状披裂筋を働かせることで、声帯が分厚くなり、地声のように豊かな音色になります。(定義3が実現される)

ただし、披裂筋類の働きを強くし過ぎると地声のときと同様に声がひっくり返ったり、逆に弱過ぎると地声には聞こえなかったりするので、音程ごとに披裂筋類の働きを調整する必要があり、それをメロディーに沿って行うのは至難の技です。完全にコントロールできるまでには相当な訓練と時間が必要だと思います。

「こういう風に声を出せばミックスボイスになるよー」ってものではありません。

張り上げとは

「ミックスボイス習得時の注意点」の中で、「地声で無理矢理張り上げて喉を壊すようなことがない」と説明しました。

張り上げ」って何?と思われた方がいると思います。

地声で高音を出すときに、過度な息の量を吐くとともに、声がひっくり返らないように首の筋肉などを使って声帯をガチガチに固めて歌うことです。

本来は声帯周辺の筋肉を使って音程を調整しますが、声帯以外の筋肉を使うことで無理矢理声帯を小さくして、音程自体を変えてしまう場合もあります。

声帯以外の筋肉で声帯を制御するので、当たり前ですが声帯には良くありません

ボイトレとかで良く「力を抜いて!」と言われてる状態ですね。

言われるほうはどうやって力を抜けばいいか分からないんですけどね。

わざわざ力を抜くんじゃなくて、正しい発声方法を行うことで力を入れる必要がなくなるんだと思います。

張り上げるのではなく、正しい発声を目指しましょう。

まとめ

ミックスボイスは以下のように定義できる。

  • 定義1:披裂筋類と輪状甲状筋を自由にコントロールして発声している
  • 定義2:声帯全体が振動している
  • 定義3:地声のように豊かな音質である

ミックスボイスはあくまでも地声の一種であり、声帯の筋肉を地声より細かくコントロールして実現させる。

ヘッドボイスは披裂筋類の働きがほぼ0%のミックスボイスと言え、ヘッドボイスの状態から披裂筋類の働きを強めることでミックスボイスになる。

今回はミックスボイスの理論について書きました。

次回はミックスボイス習得に必要な練習方法について書いてみたいと思います。

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