前回の「高音ボイトレ 導入編」に続いて、理論編をお届けしたいと思います。
前回、以下の練習方法に従った具体的内容を今後紹介すると締めくくっていましたが、なぜこのような練習方法にしようと思ったかを理論編として書きたいと思います。
理論編なので、ちょっと真面目な口調の部分が多くなります。
どうやって声を出すのか
肺から送った息が喉を通るときに声帯が振動し、息が口や鼻を通るまでにその振動が喉や周囲の空洞に共鳴して声となります。
口の内部の空洞を口の開け方や舌で変化させることで異なる母音として聞こえます。また、喉や鼻腔や肺などの空洞や体自体に共鳴させることで音質に違いが出ます。
歌うときの声
「あいうえお」などの音質の違いは、口や喉の空洞の形で作り上げますが、歌うときの音程は声帯が担います。
声帯は左右に開く門のような形状で、喉にあるので、息を吸うときに門を開けて、声を出すときだけ門を閉じ、息を利用して振動させます。(この門は声唇とも呼ばれます)
いつも門が閉じてると窒息するので、もちろん無意識のとき声帯は開いてます。
声帯を開け閉めする必要があるので、声帯の周囲には筋肉がいくつかあります。代表的なものは以下です。
ここで「声帯を伸縮」って何?と思われたと思いますが、声帯が伸縮することで振動周波数が変化します。
ふと思いましたが、喉ってこんなに小さいのに楽器と比べると凄く音域が広いですよね。ギターなんて何本も弦を使ってますし、弦も長いですよね。
生物ってとても優秀ですね。
地声と裏声の発声メカニズム
地声は普段喋っているときの声で、裏声は場が盛り上がったときに発する「ヒュー!」とかいう奴ですね。
歌う場合、通常は地声で歌って、バラードなどの高音部で裏声に切り替えて切なさを表現したりします。
地声は、以下のメカニズムで発声します。
裏声は、以下のメカニズムで発声します。
あれ?同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、少し違います。
「しっかり」閉じるためには披裂筋類の中でも「内側甲状披裂筋」を働かせる必要があり、実はこの筋肉は声帯の一部です。自ら震えながら働かせることになります。
高音になると声がひっくり返ることがありますよね。それは輪状甲状筋で思いっきり引き伸ばされた内側甲状披裂筋がコントロールを失って「しっかり」声帯を閉めることができなくなるからなんです。
つまり、
地声と裏声の音質
地声は張りのあるしっかりした声ですね。
一方、裏声は気の抜けたような芯のない声で、息が混じってて音量も出ません。
また、地声は人それぞれ異なった個性のある声ですが、裏声はみんな同じ声に聞こえます。この違いは何でしょうか?
声帯は主たる筋肉、靭帯、粘膜で構成されています。
裏声が、か細い感じで、息も混じっていることも納得できると思います。
どうやって声を出すかの部分で「空洞や体自体に共鳴させることで音質に違いが出ます」とお伝えしましたが、もちろん音源(声帯)が違えば、最終的な音質も異なります。
地声は、より多くの体積が振動しているため、複雑な振動となり倍音が多く含まれます。倍音が多いと耳にはきらびやかで豊かな音に聞こえます。
一方、裏声は単純な振動しかしないため、みんな同じ声に聞こえてしまいます。
どうやって高音を伸ばすか
地声と裏声の発声メカニズムで、高音になると内側甲状披裂筋がコントロールを失ってひっくり返ると説明しました。つまり、これが地声での高音発声の限界です。
喚声点より低ければ地声で歌い、高ければ裏声で歌うことになります。
でもどうにかして喚声点より上でも地声で歌いたいですよね。
そうです。
でもどうやって?
じゃあ、裏声のときに声帯を閉じればいいんじゃね?ってことです。
続きは次回にしたいと思います。
下の記事でもう少し詳細に発声の仕組みを書いたので参考にしてください。
プロが教えてくれる高音ボイトレの教材もありますよ。
【1】はじめに
【2】歌唱の基礎知識
【3】発声練習編
【4】歌唱テクニック編
- 高音ボイストレーニング -
【1】カラオケで高い声を出したい
【2】高音ボイトレ 導入編
【3】理論編
- 【3-1】発声メカニズム
- 【3-2】ミックスボイスとは
- 【番外】高音ボイトレ理論編を書いた後のこと
- 番外編 -
【番外編】
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