基礎からのボイトレ -基礎知識:声の響きと共鳴-

ボイトレ理論
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前回は地声裏声以外にもいろいろな声があることを紹介しました。

声の種類が同じでも人によって声が違いますし、同じ人でもいろいろな声色を出すことができます。モノマネなどはその典型ですね。

なぜ違う声に聞こえるのでしょうか。最も大きな要因は響きです。今回は声の響きと共鳴について説明します。

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共鳴腔

声帯を振動させた声は息とともに喉と口や鼻を経由して外部に出て聞こえます。

このとき、喉や口、鼻の空洞に共鳴して響きます。この響いた声が最終的に歌声として耳に聞こえ、響かせ方の違いで歌が上手く聞こえたり、残念な歌声だったりします。

声が響く空洞のことを「共鳴腔」(きょうめいくう)と呼びます。

主な共鳴腔は下の図の通りです。

出典:Intaractive Atras of Larynxより抜粋し一部加工

左側の名前が共鳴腔の名前です。鼻の奥の「鼻腔」、口の中の「口腔」、声帯と口までの喉の部分の「咽喉腔」です。右側の軟口蓋は喉ちんこにあたります。

胸部の肺にも共鳴しますが、共鳴腔で響いた声が体を伝わって肺が共鳴しているので、厳密には共鳴腔とは呼ばれません。胸部の共鳴の仕方によって声色も変化するので胸部も重要な場所なのは間違いありません。

→「喉の構造」

響き

声帯で発せられた声は共鳴腔に共鳴して音量が増幅され声になります。

このとき、共鳴腔の形を周囲の筋肉で変形させることで異なる響きを作ります。

一般的に大きな空洞であればあるほど深みのある豊かな響きになります。

子供の頃に「口を大きく開けて歌いましょう~」なんて言われましたよね。本当は口を大きく開けても響きは良くなりません逆に悪くなります。

正しくは口の中の空洞の容積を大きくして、口は控えめに開けます。口だけを大きく開けると開口面積が広いため共鳴できません(空洞でなくなってしまう)。

響きの作り方

共鳴腔の形を変化させて響きを作りますが、具体的にどのように作るのでしょうか。

具体的な例を挙げてみます。

口の中を開ける

先ほど説明した通り、口の中だけを大きく開けると口腔が広がります。口自体を開きすぎると声が漏れてしまって共鳴しないので、口の中だけ大きく開けます。

同時にエラの下の筋肉を外側に向かって拡張させると口腔が広がります。後述する喉仏を下げるのと同時だとやりやすいかもしれません。

軟口蓋を上げる

軟口蓋を上げると口腔が広がります

「えっ、そんなことどうやってやるの?」と思われますが、実は簡単にできます。アクビをします。

鏡を見ながら口を開けて欠伸をすると喉ちんこがクイっと上がります。この状態で歌うといつもの声と違うことが分かると思います。

欠伸をしたままだと変な声なので、軟口蓋を上げる感覚を掴んだらもう少し自然な感じで歌うと響いた声になります。

喉仏を下げる

喉仏を下げると咽喉腔が長くなります。その分、深い共鳴になります。

→「喉の構造」

これは特にコツらしいものはありません。喉仏は誰でも意識すれば少しは下げることができるので、時間をかけて自由自在に下げられるように慣れるしかありません。

あまり下げすぎるとローラリンクス(ラリンクスは声帯のこと)と呼ばれる篭った感じの声になるので、下げれば下げるほどいいというものでもありません。

鼻腔の響かせ方

鼻腔が残りましたが、具体的な響かせ方は不明です。意識して鼻の中を変化させることができないので、どうやるんでしょう(笑)。

鼻腔を変化させるというよりも鼻腔より下の筋肉を変化させて鼻腔に声を導いて響かせるイメージだと思います。確かに鼻腔にも響くんですが、どのように響かせているのか僕自身も分かりません。(もしかしたら軟口蓋を上げることと関係しているかもしれません)

一番分かりやすいのはハミングです。口を閉じているので鼻だけで息を吐いて歌うので、鼻腔に響きやすいです。鼻腔に響いた状態で鼻の骨を手で触ると喉と同じくらい大きな振動を感じることができます

鼻の骨を触りながらハミングで振動が大きくなるように声を変化させ、響かせる練習をするしかないと思います。

→「鼻腔の響かせ方の練習方法」

たまに鼻腔には響かないと説明している人もいますが、実際に鼻の骨がビンビン振動するので、その人が響いていないだけだと思います。

胸部

胸部も響くのですが、他の共鳴腔が響いていないと胸部まで到達しません。胸部が響くととても深く安定した声色になります。

喉に近いので喉からの振動も直に伝わっていますが、喉や頭部の振動が背中も通じて響くので、胸部だけを響かせるのではなく最終的に胸部まで響くことで全体としてより深い声色になります。

地声のことを胸声チェストボイスと表現することがありますが、胸声(地声)は胸部にしか共鳴しない意味ではありません。低い音程は体積の大きい胸部に共鳴しやすいので感覚的にチェストボイスと表現しているだけです。地声も他の共鳴腔に共鳴しています。

また、どんなに高音でも胸部にも共鳴しています。胸部にほとんど共鳴していないとキンキンした声で歌唱には使えません。

 

以上、今回は響きと共鳴について説明しました。少し、練習っぽい内容も説明しましたので、次回からは歌が上手くなるための練習について説明したいと思います。

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