皆さん、バラードは好きでしょうか?
激しい曲もいいんですが、バラードをしっとり歌えると渋くてカッコいいですよね。声質がいいと吸い込まれてしまう感覚に陥ります。
ノリノリの曲は声量でごまかすことができますが、バラードは歌唱力がないと難しいです。粗が目立ってしまいます。
今回はバラードを上手く歌うためのテクニックを紹介します。
バラードの特徴
バラードは粗が目立つので苦手な方もいると思います。
バラードの特徴は以下のようなものがあります。
- テンポがスロー気味
- ロングトーンが多い
- 感情表現が豊か
- せつない、悲しい
歌唱力の差が目立ってしまう要素だらけです。ノリだけでは乗り越えられません。
バラードを上手く歌うには
バラードを上手く歌うには歌唱力が必要です。当たり前すぎますね。
具体的にどのような歌唱力が必要でしょうか?
- 声の響きが良い
- 声質を歌詞やメロディーに合わせて変化させている
- 抑揚が十分についている
- 滑らかに歌っている
以上のような要素を挙げることができます。
今までのボイトレ記事の中で既にいくつかの要素は紹介しています。
声の響きが良い
声質を歌詞やメロディーに合わせて変化させている
抑揚が十分についている
【13】歌唱テクニック:抑揚-曲全体で声量と声質を変化させる-
滑らかに歌っている
これはまだ紹介していません。今回は「滑らかに歌う」について紹介します。
滑らか(レガート)に歌うとは
「滑らかに歌う」とは、音と音の間が途切れず声量も一定で歌うことです。音楽用語では「レガート」と呼びます。学校の音楽の授業でも習ったことがあると思います。
バラードはスローなテンポの曲が多いので、音と音の間が途切れると耳障りに聞こえます。できるだけ滑らかに歌ったほうが心地よく聞こえます。
逆にリズミカルな曲ではアクセントをつけて歌うほうが曲調に合っています。ここで注意点があります。アクセントは音と音の間が途切れることではありません。
音と音の間が途切れることは「スタッカート」と呼びます。
- レガート:音と音を途切れずにつなげるように歌うこと(声量もつながっている)
- アクセント:音の始まりにアクセントをつけて強く歌うこと(音と音の間は途切れない)
- スタッカート:音と音の間を少し空けること
以上のような違いがあるので、正しく理解してください。
バラードが苦手な人の多くは、常にスタッカート気味に歌っていることが多いです。
リズミカルな曲でもバラードのどちらでも、常にスタッカート気味に歌うのはあまり良くありません。スタッカートは特別に表現したい場合でのみ使います。
リズミカルに歌うときはアクセントをつけて歌い、バラードを歌うときにはレガートで歌うのが基本です。歌詞やメロディーに応じて他の歌い方を混ぜます。
アクセントとレガートのどちらも音と音の間はつながっています。歌を上手く歌うためには音と音の間が途切れずに歌えることが重要です。
音と音の間が途切れてしまうとバラードのほうが目立つので、バラードを上手く歌えないと感じているだけです。リズミカルな曲も本当は上手く歌えていません。
なぜ音がつながらないのか
音と音の間をつなげて歌うことが重要だと説明しましたが、途切れてしまうことがあります。どうしてでしょうか?
発音は子音と母音の組み合わせです。
歌は母音メインです。ロングトーンは母音を伸ばします。
母音だけでは言葉にならないので子音も発声しますが、子音を発声することで音と音の間がつながらなくなってしまいます。
子音には無声音と有声音があります。
- 無声音:k,s,t,h,p
- 有声音:g,z,d,n,b,m,y,r,w
日本語で表すと以下となります。
- 無声音:カ行、サ行、タ行、ハ行、パ行
- 有声音:ガ行、ザ行、ダ行、ナ行、バ行、マ行、ヤ行、ラ行、ワ行
有声音の子音は母音と同様に声帯からの発声を伴いますが、無声音の子音は声帯を使わずに息だけを使います。
無声音の子音が歌詞に含まれると声帯での発声を止めることになります。これが原因で音と音の間がつながらなくなってしまいます。
音と音の間をつなげる方法
では、どうやって音と音の間をつなげるようにできるのでしょうか?
音と音をつなげるためには以下の手順で練習します。
- 母音のみで歌う
- 母音のみで音が途切れないようになることを確認する
- 子音を混ぜて(普通に)歌う
母音のみで歌う
子音を除いた母音のみの歌詞に変換して歌います。
例えばEXILEの「ただ逢いたくて」の場合、以下のようになります。
- 元の歌詞:ただあいたくてー もーあえなくてー
- 変換後 :あああいあうえー おーあえあうえー
母音のみで音が途切れないように練習する
レガートで歌えない人は、さきほどの母音のみに変換した歌詞を歌っても「あ、あ、あ、い、あ、う、えー」と歌ってしまいます。
- 元の歌詞:ただあいたくてー もーあえなくてー
- 変換後 :あああいあうえー おーあえあうえー
- 歌い方 :あーーいあうえー おーあえあうえー
上の歌い方のように同じ母音は音程だけを変化させて歌う練習をします。
異なる母音の場合は、音が途切れないように強く意識して歌う練習をします。
子音を混ぜて歌う
母音のみで音が途切れないように歌えるようになれば、子音を混ぜて元の歌詞で歌います。
このとき、母音のみで歌っている意識で、子音を軽く挟むようにして歌います。歌自体は母音で歌い、歌詞を伝えるためだけに子音を混ぜる感覚です。
響きも重要
音が途切れずにレガートで歌えるようになる練習方法を紹介しましたが、レガートには響きも重要です。
しっかり響いた声で発声していれば、自分の体で残響が発生します。残響があれば音と音の間が少し途切れても残響がカバーします。無声音の子音は声帯を振動させることができないので、必ず音が途切れてしまいます。
しっかり響いた声であれば、無声音の子音の音の途切れもカバーできます。
「母音のみの歌詞での練習」と「しっかり響いた声」でバラードに磨きをかけましょう。
【1】はじめに
【2】歌唱の基礎知識
【3】発声練習編
【4】歌唱テクニック編
- 【4-1】ビブラートで心地よい響きに
- 【4-2】抑揚-曲全体で声量と声質を変化させる-
- 【4-3】バラードは音の区切りを滑らかに(レガート)
- 【4-4】正しい日本語の発音で自然な歌い方に
- 【4-5】抑揚(こぶし、ひっかけ、フォールなど)
- 【4-6】口の開け方でジャンルや雰囲気が変わる
【1】カラオケで高い声を出したい
【2】高音ボイトレ 導入編
【3】理論編
【4】練習編
- 番外編 -
【番外編】
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